トランプ政権が、ニューヨーク・タイムズなどがOpenAIを訴えた著作権侵害訴訟で、OpenAIを支持する意見書を裁判所に提出した。政府は、著作物を用いたAIの学習は国家安全保障に資すると主張している。連邦政府がAIの学習をめぐる訴訟に立場を示すのは、これが初めてだ。
同じ週、米政権はG20に対しても、創作者の作品でのAI学習を認めるよう各国に促していた。国内の法廷でも、国際交渉の場でも、政府は「学習の自由」を一貫して後押ししている。ここで働いているのは、著作権者への補償という論点を、米国のAI覇権という国益の物差しに掛け替える構図だ。
いかにも都合のよい話でもある。学習の是非を「国家安保」と呼べば、対価を求める報道機関や作家の主張は、国益の前に格下げされる。裁判所がこの見立てをどこまで採るかは、まだ分からない。だが、政府が一方の当事者に付いたという事実そのものが、この訴訟の重心を動かした。
ニューヨーク市のマムダニ市長が、原則として中学2年(8年生)までの生徒に対し、生成AIの利用を1年間禁じると決めた。影響を1年かけて検証するためだという。全米最大の学区が、最も年少の子どもたちからAIを遠ざける。
ワシントンがAIを「国家安保」と呼び、企業への普及を後押しする一方で、子どもに最も近い場所にある機関は立ち止まった。同じ日、ロサンゼルス学区も配布端末での生成AIを禁じている。普及を急ぐ号令と、教室での慎重論が、同じ国のなかで正面から食い違っている。
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