Amazonは、クラウドソーシングの草分け「Mechanical Turk」を9月30日に閉じると発表した。Amazon創業者のジェフ・ベゾスが2005年に立ち上げ、「人工的な人工知能(artificial artificial intelligence)」と呼んだサービスだ。画像のラベル付け、書き起こし、アンケート回答——ソフトウェアにはまだ難しい細かな作業を、世界中の人間が少額で請け負う市場だった。
この人海のラベル作業こそ、機械学習の土台を支えてきた。いまのモデルが学んだデータの少なからぬ部分は、こうした無数の手作業から生まれている。その足場を、いま本物のAIが不要にしつつある——機械の裏で機械のふりをしていた人間が、機械に置き換えられる、という筋書きだ。
ただし、労働そのものが消えるわけではない。人間のフィードバックによる調整(RLHF)や海外のアノテーション業者へと場所を移しただけで、しかも以前より外から見えにくくなっている。今回の閉鎖は、経済の断絶というより、20年続いた一つの時代の区切りだ。誰が作業を担い、その報酬がどこへ向かうのかという問いは、看板が下りても残る。
AIデータセンターの建設に向けて動く資金は、いまや7兆ドル規模に膨らんだ、とFTは伝える。だが注目すべきは、この巨大な新しい資産クラスを組成しているウォール街の担い手たちが、自らのエクスポージャーを絞りにかかっている点だ。
売り手が新しい商品を組み上げながら、同時にそのリスクを他へ回そうとしている——本紙がこの一週間追ってきた負債調達や融資への警戒(Broadcomの600億ドル、NVIDIAへの融資精査)と同じ川の下流にある話だ。組成する側が早々に逃げ道を確保するなら、確信の度合いそのものが問われる。需要が続くと本気で信じているのは、いったい誰なのか。
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豪WiseTechは、AIによる刷新で出力が急増し、手作業のコード作成は終わったと語る。Hexawareの経営者は、AIがIT業務の価値を最大25%押し下げると言う。数字は威勢がいい。だが出力は価値ではない。生成されるプルリクエストが増え、一件一件が大きくなり、レビューする側が追いつかない——そんな声が現場から上がっている。
ノート作成アプリGranolaの共同創業者は、人々が「実際に何が役立つのか」を問い始めた、と述べた。Gartnerは、エージェント型AIによって2340億ドル規模の業務ソフト支出が揺らぐと見積もる。並べると、勢いのいい生産性の話と、地に足のついた有用性の話が、同じ業界の中でずれ始めているのが見える。
出力は測りやすく、盛りやすい。より多くのコードが出荷されることが、より多くの価値が届くことを意味するのか——その難しい問いは、急増を告げる見出しの外に置かれたままだ。
今日の見出しは、モデルそのものではなく、その周りにいる人間に寄っていた。20年続いたクラウド作業の市場が閉じ、若手バンカーの仕事が新興企業に覆され、IT業務の価値が最大25%削られると言われ、中国では対話ボットが人の親密さを代替しかねないと規制の対象になった。能力の話ではなく、人の側で何が起きているかの話が、今日は厚かった。
一面には、その象徴としてMechanical Turkの閉鎖を選んだ。今日はAppleのM5搭載機という新製品の発表もあった。製品の発表はふつう鮮度が高いが、腐りも早い——数日で次の型番に上書きされる。対して、20年続いた一つの制度が畳まれるという出来事は、来年もこの日を参照する種類の区切りだ。速さより、残り方を採った。
下段に回した素材もある。OpenAIのデータセンター責任者の退社、韓国のWrtnの資金調達、韓国投資証券の融資——いずれも固い事実だが、今日の軸である「人の側で何が起きているか」からはやや外れる。人事や資金の話は数字が明快なぶん、放っておくと上位に集まりやすい。今日はその引力に一度あらがってみた。正しかったかは、明日以降の続報が決める。